!ゼロス好感度一位でクラトスルート!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 
 

「ロイドはみんなのことが好きなんだね」
 独り言のようにそう呟いたコレットはいつものように微笑んでいた。ほんのすこしだけ瞳を伏せて、微笑んでいた。だから俺もいつもどおりに笑って、嫌いより好きが多いのがいいだろ、とジーニアスあたりにいえば眉をしかめられるようなことを答えた。勿論コレットは眉をしかめたりなんかせずに、そうだね、と頷いた。
 その拍子に揺れた金色の長い髪が光の束のように見えた。
 きれいだな、と呟くとコレットは一瞬驚いたような顔をしてすぐに真っ赤になった。だから俺は変なことをいったかもしれないと思ったけど、だけど思い当たらないからコレットの顔から赤みが抜けるのをしばらく黙って待っていた。黙って待っている間にさらにコレットの顔は真っ赤になったから、コレは病気かもしれないと思って先生を呼んだ。小声で先生に何かを話したコレットの髪はまた揺れていた。
 太陽が砕けて雨みたいに降り注いだら、あんなきれいなものになるのかもしれない。
 そう思ってなんとなくその毛先を掴んでみたらコレットが跳ね上がった。
 コレットは驚いた顔をしてたけど俺だって驚いた。掴んだ先は太陽みたくあつい熱を発してはなかったけど、多分今コレットの肌に触ったら太陽みたいに熱いと思った。
 一瞬試しに触ってみようかと思ったけど何故か先生に怒られたのでやめた。
 コレットと先生は何か頷きあっているけど俺にその内容は教えてくれなかった。
 なんだか仲間はずれのようでつまらなくなって、そうだゼロスと話そうとあたりを見渡した。女好きのゼロスならコレットと先生の秘密ごとがわかるかもしれないし、そう思って思い出した。

 ゼロスはもういないんだ。

 忘れたくないけど忘れたい、記憶。
 いつもは心の奥のほうにしまってあるソレが顔を出して、聞き慣れた軽い声で、笑っているような気がした。

 殺したのはハニーだろ?

 とてもとてもきれいなつくりもののえがおをはりつけて、
 あいつがそういったきがした。

 (そうだ、俺が、ゼロスを殺したんだった、)

 コレットの顔よりも真っ赤に染まったこの手で、殺したんだ。



「何か探しているのか?」

 ふと背後に気配を感じたと思ったらクラトスが立っていた。
 いつものことだけど妙に険しい顔をしている。俺が何も言わないでその眉間のしわを見ているとクラトスはもう一度「何か探しているのか」と、まるでそうあって欲しくないみたいな声で言った。何かを探す。クラトスの言葉を頭の中で繰り返して答えるべき言葉を選んだ。

 いつだって探そうとは思っていた。
 けど、見つからないから随分前にやめたんだ。

 俺はクラトスに向かって笑って、別に、といった。だけどクラトスが明らかに信じていないという顔をするから、ただ腹が減って飯がまだか見てたと少し首を傾げながら付け加えた。そうしたらクラトスは納得したのか信じたのか諦めたのか、わからないけど少しだけ微笑んだ。
 ああ、クラトスは本当に俺に甘い。表面にかぶせただけのような簡単な嘘にでも誤魔化されてくれる。たぶんソレは、俺が嘘をつかないって信じ込んでるせいなんだろうけど、本当に甘い。そういうところは嫌いじゃないけど、やっぱり、甘い。

 そんなことを考えていたら、なんとなくさっきコレットが言ったことを思い出した。

 俺はみんなが好き。
 (そうだな)すぐに頷ける。
 俺はみんなが好き。
 (だって、好きになるようにしたんだ)手当たりしだい、何でもよかった、目の前にあるものから順に好きになっていった。(でないと足りない)

 本当は、俺はゼロスのことが好きで好きで好きでたまらなくて、夜中のみんなが寝静まったときにゼロスを抱きしめたときなんかはゼロスだけがいればいいと平気で思うくらいにあいつが好きだったんだ。
 そのゼロスが、いないから、
 だから俺の中にはゼロスが好きだという気持ちだけが向かう先もなく取り残されて好き勝手に暴れまわるから、どうしようかと珍しく考え込んで、すごく簡単な方法を選んだ。好きだ、というその気持ちを周りのものに発散していくことにした。そうすれば少しだけ、楽になった。気持ちが暴れることはないし衝動的にゼロスの名前を叫ぶこともなくなった。
 これでいいんだ。
 俺が今好きなものの中に「一番」とか「特別」はないけど、感情の捌け口にするくらいならそれで丁度いいと思う。一番も特別も、ゼロスの為にあるものなんだし。

 そう、だから、俺はみんなが好き。
 (いつもどおり微笑むコレットもそのきれいな光みたいな髪も俺に甘いクラトスも難しいことを考える先生もすぐ眉をしかめるジーニアスもどこか元気をなくしたしいなも考えてることを隠すプレセアも穏やかに笑って子供を見守るリーガルも、)


 みんな、ゼロスの代わりに好きになった。


 













ロイド君は誰よりも強いけど誰よりも弱いイメージがある。なんか彼は常に紙一重な場所に立っている気がする。で、一番大好きだったゼロスがいなくなって一気に足元から崩れ落ちてどうしようもできなくなってそのまま投げやり気味に不安定な足場を組み立てていくような…書いてて自分でもわけがわからなくなってきた。えー、フィーリングで読んでください!
つかおかしいな最初はこんな話になるはずじゃなかったのにな…ゼロスは生きてた、はず…だったんですけど思い通りに話がかけないのなんていつものことです。
071118