いつか
世界が
壊れる
日まで
(パラレル・千伊武兄弟パラレル)
親しい友人がいることも、尊敬する先輩がいることも、好きな人も嫌いな人も、知らないことなど何一つない。 血のつながりのない弟は下手にそんな繋がりがなかった分俺によく懐いている。 家族には話しづらいこと、というのは俺達の間にはなかった。家族だけど家族じゃないからか。二歳差というと友達でもないけど、先輩後輩のような関係は築ける。後輩な弟は先輩な俺に甘えて色々話してくれる。だから、弟の交友関係は全て知っていたし、弟の誕生日は率先して祝おうという友人が多いこともわかっていた。 だからこそあらかじめ、言っておいた。 「深司くんの誕生日は俺と一緒に過ごそう、ね?」 先輩だけど兄でもある俺に、他の誰に対してよりも懐いている深司くんが断るはずがなかった。はい、と嬉しそうに答えた彼に満足した。
他の誰かに譲るつもりはなかった。 兄として、先輩として、一人の男として、俺は深司くんを愛しているから。いつかは他の全てから彼を引き離して俺だけのものにしてしまいたいと思う。俺はきっと彼無しでは生きられなくなるだろう日がくるから、その限界までは、誕生日を独占するくらいで籠の扉は開けておく。 いつかその日がくるまでは、 彼にも世界があるのだから。
(いつかその世界を壊してしまうのは、俺の手だとわかっている) 20061103. 兄弟パラレルー、パラレルだいすきー。 本当はこの兄弟両想い設定なんだけど、コレだと千石さんの片想いっぽいですね。千石さん誕生日で伊武君側の話を書くぞ、うん。
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